最低賃金
【2016.12.05】
愛知県の最低賃金が10月1日より「845円」に改定された。ほぼすべての愛知県民は、この最低賃金という言葉を知っており、また労働者の給与(時給で計算)がこの金額を下回ると法令違反で罰則を受けることまで知っている。しかし、この最低賃金の金額は、誰が・どのように決めるのか、詳しく知っている人は少ない。
最低賃金は、愛知県下の公益側委員(教授・弁護士・論説員など)、労働者側委員(労働者、労働団体など)、使用者側委員(経営者、経営者団体など)、いわゆる公・労・使代表が昨年の最低賃金から何円引き上げるのが妥当なのかを審議して決めています。
ベテランの組合員の方から「若い頃は時給700円も無かったのに、今はすごく高くて、うらやましね。」等の声をお聞きします。しかし、パートやアルバイトで生計を立てる人は年々増えており、この金額で生活をしている人には決して高いものではありません。
例えば、時給845円で年間2,000時間も働いても年収はわずか169万円にとどまり、月あたりで考えると約14万円です。この金額では家賃や光熱費、その他必要な経費を支払うと決して余裕のある生活水準ではありません。さらに、結婚したい、家庭を持ちたい、子供が欲しいなどの、人生におけるターニングポイントで自分の給与を含めて考えるとあきらめざるを得ないとの声も聞きます。あるデータ(内閣府、2010年調査)では、年収が300万円未満の男性の既婚率は9%程度だが、年収300万円を超えると25%を超える、いわゆる「年収300万円の壁」というものがあります。
この最低賃金はすべての労働者に適用されますので、本当に最低賃金で生活している人には切実なテーマです。私たち連合は、働くすべての人がまずは安心して生活ができる土台があってこそ、会社の仕事に専念して貢献できることを訴え続け、厳しい経済情勢でも大幅な引き上げこそが、労働者一人ひとりのモチベーションをあげ、会社の更なる発展にもつながるとともに、強いては個人消費の拡大につながると考えています。
そうした観点から、来年も最低賃金の引き上げに向け、現場の労働者の声を審議会で訴え続け、セーフティーネットの強化につなげていきます。また、最低賃金が改正されても、それを知らない経営者も多くいる実態もあります。私たちは街頭宣伝行動やチラシの配布などの周知活動を広めていきます。