考えてみれば随分と長く労働相談センター活動に携わってきたものです。それは私の労働人生においての“第4四半期”にもなるのですが、これまで周囲の多くの方々のご理解とご協力があったればこそのことです。そして自身を支えてきたのは、この仕事が「相談者の、大きくは社会の役に立っている」という漠とした信念と自負―それは単なる思い込みに過ぎないのかも―です。
しかし、特に最近は「答えのない相談」が増えてきました。労働相談はつとめて答えや方向を示すのですが、労働相談のフィールドの辺縁にあるそうした相談に対応するに際しては、はたしてこの相談者の“お役に立てたのか?”と自問してしまうことも度々です。
そして、今回の2日間の労働相談ダイヤル期間中には24件(81件中)のパワハラ(いじめ・嫌がらせ)相談が寄せられました。想定していたことではありますが、残念ながらその多くは容易には改善・解決が見通せない事例でもあり、相談者の思いや期待に十分に応えられなかったのかも知れません。
本年1月末に厚労省主宰の円卓会議のワーキンググループ報告がまとめられた―これが今回ダイヤルのテーマ設定に至った背景でもあります―ところですが、そして増加が著しいパワハラを職場の劣化や軋みの現われとすれば、その改善・解決として目指すべき“誰もが仕事で輝ける職場”へという道程の上では、まさに入口に立ったばかりと言うべきでしよう。
セクハラがそうであったように、パワハラについても法制化を視野に入れた行政による周知・啓発が強く望まれるところです。また、労組の有無はパワハラの発生に限れば大きな要素ではなかったという結果もありますから、各労組・企業における労使一体となった一段の取組みも必要です。





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