考えてみれば随分と長く労働相談センター活動に携わってきたものです。それは私の労働人生においての“第4四半期”にもなるのですが、これまで周囲の多くの方々のご理解とご協力があったればこそのことです。そして自身を支えてきたのは、この仕事が「相談者の、大きくは社会の役に立っている」という漠とした信念と自負―それは単なる思い込みに過ぎないのかも―です。
しかし、特に最近は「答えのない相談」が増えてきました。労働相談はつとめて答えや方向を示すのですが、労働相談のフィールドの辺縁にあるそうした相談に対応するに際しては、はたしてこの相談者の“お役に立てたのか?”と自問してしまうことも度々です。
そして、今回の2日間の労働相談ダイヤル期間中には24件(81件中)のパワハラ(いじめ・嫌がらせ)相談が寄せられました。想定していたことではありますが、残念ながらその多くは容易には改善・解決が見通せない事例でもあり、相談者の思いや期待に十分に応えられなかったのかも知れません。
本年1月末に厚労省主宰の円卓会議のワーキンググループ報告がまとめられた―これが今回ダイヤルのテーマ設定に至った背景でもあります―ところですが、そして増加が著しいパワハラを職場の劣化や軋みの現われとすれば、その改善・解決として目指すべき“誰もが仕事で輝ける職場”へという道程の上では、まさに入口に立ったばかりと言うべきでしよう。
セクハラがそうであったように、パワハラについても法制化を視野に入れた行政による周知・啓発が強く望まれるところです。また、労組の有無はパワハラの発生に限れば大きな要素ではなかったという結果もありますから、各労組・企業における労使一体となった一段の取組みも必要です。



0.6%に74%!

でいごの花

 みなさんは、6月23日が何の日か知っていますか?
また、0.6%と74%という数字が何を表わすものであるかピンとくる人はいるでしょうか?
私も最近まで知りませんでしたが、6月23日は、1947年に制定された沖縄県の条例による「慰霊の日」です。太平洋戦争の末期、沖縄に上陸した米軍と日本軍との「鉄の暴風」と呼ばれた激しい地上戦が行われた結果、20数万人の尊い命が犠牲になりました。特に民間人の犠牲者は軍の強要による自決者を含め軍人をはるかに上回り、また海と緑豊かな自然の島は焦土と化しました。そして6月23日は、戦争による惨禍が再び起こることがないよう、人類普遍の願いである恒久平和を希求するとともに、戦没者の霊を慰めるために「慰霊の日」と定められました。
この沖縄戦は当時敗戦濃厚の中、日本軍は本土決戦に備え沖縄を「本土の捨て石」としたまで言われるように、現在の日本の平和は沖縄を犠牲にして成り立っているといっても過言ではないかと思われます。みなさんも“島唄”を知っていると思いますが、歌詞の「でいごの花が咲き風を呼び 嵐が来た」は“災厄を告げるという でいごの花が咲き、(1945.4.1)沖縄本島に(鉄の暴風)米軍が上陸した”ではじまるように、沖縄戦の犠牲者の慰霊と平和を祈る歌として全国に広まりました。
さて、戦争により沖縄はアメリカに占領され1972年に日本に返還されて今年で40年になります。現代の沖縄が抱える問題は、米軍基地問題です。
先に出した数字の0.6%とは、日本国土における沖縄県の面積比率で、74%は全国の米軍基地の沖縄県における割合なのです。たった0.6%の土地に74%分の米軍基地が集中しているのです。その中でも普天間基地は市街地にあり、世界で最も危険な基地と言われています。最近は「オスプレイ」配備に対し危険性が指摘されています。
一方、沖縄県の経済や雇用において米軍基地が大きく影響していることも事実ですし、最近の東アジアの情勢による日本の安全保障も重視する必要があります。米軍基地が返還された場合、基地労働者の安定的な雇用や地主の権利確保、環境保全や跡地利用などの対策も実現しなければ問題解決にはなりません。
恒久的な平和を維持していくには、多くの複雑な問題があるので、私たちはそれぞれの立場において、多面的に物事を正確に見聞きし、冷静に対応することが必要であります。
連合愛知では、6月に沖縄、8月に広島、長崎、9月に根室で行われる平和行動に参加しています。この時期、みなさんもそれぞれの立場で平和について考えて行動してみてはいかがでしょうか。





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