「ワーク・ライフ・バランスの推進」という考え方は、いかにも日本人らしい考え方だと思います。「生活のために働くのか?働くために生活をしているのか?」単純に考えれば多くの人が「生活のために働いている」ということになるのでしょうが、これまでの日本人労働者は、時間ももちろんのこと人生そのものを仕事に捧げているように見えます。


先日テレビで「無縁死」を取り上げていました。「無縁死」は、生涯単身者だけではなく家族がある人でも起こりえるということが、事例をもとに報道されていました。例えば、ある60歳代の男性は、仕事を第一に考え過ぎて家庭をかえりみなかった結果、家族を失い、頼みの会社も定年後は繋がりが失われたことにより、「無縁死」に至ったということでした。かつて多くの成人男性は、人生を働くことに費やすことで、家族に感謝され自分も報われると信じていました。しかし、その結果が「無縁死」なのであれば、働くということは何なのかと感じます。仕事とは何か、人生とは何かと考えれば、「ワーク・ライフ・バランス」などと形にとらわれるのではなく、節目節目で自らの人生そのものを見直すことが必要なことだと思います。


4月に施行される改正労働基準法に対する企業の対応も、不況による業績不振もあり十分進んでいないようですが、今後は国際会計基準の動向も含め、企業においても従業員が心身共に豊かな生活ができるよう早急に制度を整えてほしいものだと思います。



まだまだ寒い日が続いているが、すでに大寒も過ぎ各地で梅が開花しはじめている。季節は、少しずつ冬から春へと移りつつある。しかし、景気の動向に目を向けてみると、「景気は上向き傾向にある」と言われてはいるものの、それは一部の業種にすぎず、全体的には冷え切っている状況に変わりないものと思われる。このような状況の中、連合愛知が解決すべき第一の課題は、何と言っても雇用問題である。この問題が少しでも改善できるよう、最大限取り組みを強化することが必要である。


わたしたち連合愛知は、昨年末以降、新卒者の「就職氷河期」問題に取り組んでいる。2009年秋ごろ、愛知県における今春高校卒業予定者の就職内定率は約75%であり、2,300人もの学生のみなさんが就職の内定を得られない状況にあった。しかし、各方面の努力と協力のおかげで、年末には就職内定率約86.3%までこぎつけることができた。ところが、ここにきて、またショッキングな情報が入ってきた。年末の愛知県における今春大学・短大卒業予定者の就職内定率が約63.8%(対前年比マイナス13.1ポイント)との事である。就職内定率が過去最低となり、学生の多くが卒業後に思うように就職ができなかった7年前の「就職氷河期」を繰り返してはならない。


これからも毎月のように、会社合同説明会や就職面接会が開催される予定である。最終的には、3月4日に約120社が参加し、就職面接会を開いてもらうことになっている。連合愛知としてもこの問題に粘り強く取り組んでいきたい。4月の桜の咲くころ、学生のみなさんが期待に胸弾ませ、入社式の席についていることを望んでやまない。



連合 古賀会長

毎年春闘の始まりを告げる連合と経団連の懇談会が行われました。新聞各紙は、古賀会長と御手洗会長の発言を引用し双方の主張がかみ合っていないと指摘しています。しかし、一方で、我々連合が訴えている「デフレの深刻化につながりかねない賃金抑制が引き起こす景気への悪循環をどう克服していくか」について労使での議論を期待する論調が勝っている感があります。


すでに今年の連合白書を見てご存じの方も多いと思いますが、賃金水準の平均は98年の月46.5万円から08年の43万円と7.6%下落し、年収も98年の655万円から08年は556万円と約100万円減少しています。その結果、貯蓄率は90年の15%弱から07年には2.2%まで下落しました。欧州主要国の平均が10%程度であることを考えると、これまでの世界的にも貯蓄への志向が強い日本人という印象からほど遠い実情に様変わりしています。このような変化の背景には、「行き過ぎた価格競争」があることは議論の余地がありません。バブル崩壊後の失われた10年を経て、国内需要の伸びが期待できなかった企業は海外需要を頼りに積極的なグローバル化を進め、世界市場での過当競争によりコスト削減を余儀なくされました。利益を度外視した競争は製品単価の下落を促し、利益維持にはこれまで以上の売上が必要となり、その売上増には更なるコスト削減が求められ、たとえ生産性が上がっても労働者に還元しない事態が継続してしまいました。その結果、賃金により家計に配分される所得の一部が製品の値下げや株主配当、内部留保に使われ、賃金が上がらず、個人消費が減少し、市場が縮小し、ひいては企業の利益が減少しました。そして、企業が生き残りをかけて更なるコスト低減を図ることが、更なる需要の低下、市場の縮小を促す悪循環につながっているのです。


こうした状況の今こそ、「自分たちの企業さえ生き延びれば」ということでなく、企業内労使を越えたマクロの視点が重要であり、協力原理が活かされる社会への転換に向けた労使での議論が不可欠だと思います。その際には、これまで日本の競争力の源泉であった、「生産性三原則」(雇用の安定・確保、労使協議の原則、公正な分配)に代表される労使の信頼関係の重要性を互いに見つめなおし、中長期的な企業の発展、長期雇用や安定した賃金など社会的な責任を含めた日本型の労使合意を再構築することが求められていると思います。このような大きな視点を忘れず、今この瞬間も懸命に働く組合員の皆さんをはじめとしたすべての労働者・勤労者のために、ともに頑張りましょう。



「チェンジ!」後の民主党政権は何かと話題が尽きません。これまでもマスコミは概して政権与党については批判的なようですが、鳩山政権についても同じく厳しい論調です。しかし、政権交代したことによって、これまでより政治がニュースで取り上げられることが増えてきたことは、国民の政治への意識を高める上では良いことだと思います。


しかし、時勢を見れば、景気の落ち込みによって、国をはじめとした行政の収入が減っています。それらの理由もあり、新政権においてさまざまな施策が実現していない状況もあるようです。一方で、予算の確保に苦労をしながらもマニフェスト実行に向け努力しているようですが、今後のことを思えば、国も自治体も無理をし過ぎないようにしてほしいものです。


景気も底打ちと言われながらも回復していない状況下、連合傘下の組合も今回の春闘では厳しい闘いが予測されます。場合によっては春闘の在り方も、従前の方法から変革を余儀なくされるところも出てくるかもしれません。そのような意味では、労働組合もこれまでの運動から変化が求められる時期に来ているのではないかと感じます。「チェンジ!」は、偶然ではなく必然から発生するものだと、昨年の衆議院議員総選挙を経験して感じました。この必然は、現在労働組合についても起こってきていると感じる昨今です。




新年、明けましておめでとうございます。新しい年2010年が幕を開けたばかりですが、各構成組織及び単組の皆さんは、今年の生活闘争におけるそれぞれの要求案を固めるにあたり、職場討議など目まぐるしい毎日をお過ごしのことと思います。組織をリードする三役の皆さんをはじめ、組合役員の方々も要求方針を決める苦労をされていることと思います。


先日、NHKのドラマ「坂の上の雲」を見ていてドラマの中でのやり取りで改めて考えさせられた場面がありました。ある士官が上官に尋ねる場面でした。「良き上司、リーダーとは如何すれば?」その士官は自分の命令で部下を亡くしたことで悩んでいて尋ねたのです。わたしは、リーダーとしての役割の一つは「決断した事に責任をもつこと」だと考えています。しかし、決断には悩みはつきものです。長い間、悩み考え続けてきた問題だけでなく、突如持ち上がってくる問題など、それぞれ状況が異なります。それも頭を悩ます要因の一つかもしれません。新年を迎えるにあたり、各構成組織及び単組の皆さんが、それぞれの組織の目標と現状を冷静に整理し、置かれている環境を十分に考慮しながら最大限の要求方針を立てられること、そしてその結果、少しでも多くの実がなることを願っています。


さて、リーダーとして求められる役割として「決断した後は、迷わず前に突き進む先頭に立つこと」もあるのだろうと思う日々です。お互い頑張りましょう!





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