3月の下旬をむかえ、例年以上に早く桜が咲き始め、街の雰囲気もめっきり春らしくなってきました。四季の変化が美しい日本に住んでいる以上、だれでも感じることだと思いますが、わたしも組合役員になって、この春の訪れを従来以上に意識するようになりました。あらためて言うまでもなく、日本では春(4月)はスタートの季節です。


入学、入社は言うまでもなく、学生であれば4月には学年が一つ上がり、会社は新年度をむかえ新しい事業方針に基づいて活動を推進していきます。仕事をもたない高齢の方を除けば、大変多くの方がこの時期に新しいスタートをきることになるはずですが、会社に入ってからは、この新たなスタートをあまり意識せずに過ごしている人も多いのではないでしょうか。学生にとっては、毎年の進級においても、新しい先生のもと、新しい仲間と共に、新しい教科書での勉強が始まります。ましてや、辛かった受験を終え進学した新入学生は、希望と期待で胸が一杯のはずです。また、社会人1年目となる入社の時期は、多くの人にとって新入学以上に記憶に残る人生の大きな節目だと思います。しかし2年目以降はどうでしょう。4月に定期人事異動がある会社でもなければ、会社の新年度方針が公表されたり、春闘交渉の結果としての賃上げが実施されたりしたとしても、自分から意識をしなければ見過ごしてしまうことかもしれません。


しかし、我々労働組合は毎年の春闘の取り組みにおいて、組合員の立場で構築した要求に基づき会社と交渉を行い、会社のおかれた状況も正しく認識した上で、賃金・一時金をはじめとする労働条件をどうするか決定しています。3月23日現在、厳しい経済環境や会社の業績を反映して、例年以上に多くの組合で交渉が続いており、既に解決した組合の結果も賃金・一時金ともに厳しい内容となっています。交渉中の組合役員の皆さんは、最後の最後までがんばって納得のいく回答を引き出してもらいたいと思います。そして、交渉を終えた組合役員の皆さん、大変お疲れ様でした。それぞれの結果に対する評価もさまざまだと思いますが、例年以上に厳しい評価をされる組合が多いのではないでしょうか。評価が厳しければ厳しいほど会社との認識の差が大きかったということであり、その差を組合員に詳しく伝え、今後の取り組みの重要性を正しく認識してもらえるように、最後にもうひとふんばりしてもらいたいと思います。難局に立ち向かう新年度を迎えるにあたり、一人ひとりの組合員が新たな気持ちで取り組みを始めるために・・・。



春闘に思う!

わたしたち労働組合は、春闘の取り組みに多大な時間と労力を費やす。昨年の10月ごろから議論を始め、それぞれの構成組織の議論に加わり、そして、自らの組合員と向き合いながら2009年度の春闘方針について検討し続けてきた。「どうしたらこの一年間がんばってきた組合員が報われるのだろうか」「企業の経営状況や支払い能力は現在どうなっているのか」などを常に念頭におき、要求案の盛り込み内容などを議論してきた。そういった議論をしていると、次のような考えも頭をよぎる。「春の交渉は単に金額を決めるためだけに交渉しているものではないはずだ」「企業が永続的に存続することも必要最低条件であることはまぎれもない事実なんだ」等々・・・。


そこでもう一度改めて考えてみる。すると、「企業の両輪である『経営者』と『組合員(社員)』がともに将来を見据えて、企業の現状とこれからの企業活動の方向性などを、どう認識して問題を共有化できるか」が一番大切であるという考えに至る。経営者のみの視点に立った企業経営だけで、企業がよりよい方向に進むはずはない。やはり、組合員(正規、非正規)の視点に立った経営はもちろんのこと、組合員の勤労意欲がなければ企業の行く先は必ずしも明るくはないと思う。故に労働組合は、交渉状況を組合員に報告しながら経営者との交渉に臨んでいると思う。そもそも、組合側と経営者側では考える基点が違う。だからこそ互いの意見がぶつかるのだ。このそもそものところがなければ組合の存在意義はなく、労働組合が果たすべき役割なのだ。


労働組合は、結果として、今年の要求に対しての結論を導き出さなくてはならない。組合員の将来の幸せに結びつくような春闘となることを祈願するとともに、激励とさせていただく。ともにがんばりましょう!





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