寒い日が続いています。春になれば気温は上がりますが、わたしたちの懐は寒くなるばかりです。さて、昨今の日本の労働者にかかわる環境を見ると、これが本当に先進国の姿なのかという思いを禁じ得ません。もちろん、すべての国民が豊かな生活を送ることは難しいことなのかもしれません。しかし、働く意欲がありまじめに働いている人々が、派遣労働問題に代表されるように、消耗品のように扱われていることは、少なくとも成熟した国家では、あってはならないことだと思います。その原因は、国が国民を守る諸制度(特に社会保障)をこれまで企業まかせにしてきたことにあります。


かつて日本の多くの企業が終身雇用であった理由は、企業が労働者を企業内の福祉制度を通じて守ってきたからであり、企業がある面、国の果たすべき役割を果たしてきました。この「日本的な企業経営」こそが、戦後の日本の経済成長を支えてきました。しかし、他国からの干渉によって、あたかも「日本的な企業経営」が「悪」かのように言われ、規制緩和・民間化こそが「善」であるように法律が変わり、結果、今のような状況になりました。規制緩和・民間化が「悪」と言っているわけではありませんが、国の施策は一時期あまりに極端に偏り過ぎました。今後、どのような施策を取るにせよ、自らの国と国民に合った施策を信念をもって進めていってほしいものです。





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